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腕が上がらない!四・五十肩の症状や対処法について解説します

ブログをご覧下さりありがとうございます。

Dr. KOMEDA Relaxation & Fitnessのトレーナー、坂内です。

・腕を動かそうとすると肩に激痛が走る

・腕が上がらなくて着替えもままならない

・電車のつり革を持とうとすると肩が痛い

・夜、肩が痛くて眠れない

…こんな症状の人は四十肩、五十肩かも知れません。

今回はいわゆるミドル世代に好発する

「四十肩・五十肩」について、

その原因や症状、解決法を深掘りしていきます!

四十肩・五十肩の実態

四十肩・五十肩は統計的に40-60歳の年齢層に起こりやすく、

稀に70代や、30代でも発症することがあります。

実はその原因はまだはっきりとは明らかになっていませんが、

四十肩・五十肩になるリスクの高い要因というのは

いくつか明らかになっています。

・性別:女性は男性に比べて1.6-4倍リスクが高い

・基礎疾患:糖尿病患者は5-7倍、甲状腺疾患のある患者は約3倍リスクが高くなる

・喫煙:タバコを吸う人は約11倍リスクが高い

また、最近の研究では

特定の遺伝子(WNT7B, POU1F1, MAU2)を持つ人は

四十肩・五十肩になるリスクが約6倍高くなる

という報告もされています。

四十肩・五十肩の症状

代表的な四十肩・五十肩の症状は

・夜にじくじくと痛む(夜間痛)

・服の着脱や髪を洗う動作が出来ない/痛い

・肩回りが重く、だるい

・動いても痛いし、何もしなくても痛い(安静時痛)

・腕を動かせる範囲が狭くなる

などがあります。

四十肩・五十肩の症状の寛解までにかかる時間は個人差があり、

○○ヶ月で治るという明確な指標がないのが現実です。

15ヶ月、30ヶ月かかったというデータもありますが、

残念なことに何らかの介入をしなければ、

症状が改善するまでに4年以上かかった、

もしくは何年たっても治らないというケースもあるようです。

四十肩・五十肩の原因

四十肩・五十肩は

上腕二頭筋の腱や、

腱板という、肩の「インナーマッスル」の様な筋肉などに

炎症が起こったり、

肩関節を包む膜(=関節包)に炎症が起こり、

治癒する過程で癒着し分厚く、硬くなってしまう

…など様々うたわれてきました。

また、最近ではこれらの他に

筋肉の過度な緊張が関与しているのではないかとも

言われています。

Hollmanら(2015)は、四十肩・五十肩で

肩の可動域に制限がある被験者の肩を

麻酔下で動かすという実験を行いました。

関節包の癒着などが原因で動きが制限されているのであれば

麻酔下であっても可動域に制限が出るはずですが、

この実験では、麻酔下で被験者の肩を動かすと

最大で83°も外転の可動域が改善、

少ない人でも44°の外転可動域が改善されたそうです。

この実験の結果から、

四十肩・五十肩の原因には

筋肉の過剰な緊張も含まれているのではないか

ということも考えられます。

この実験結果は個人的に

非常に納得がいくもので、

私が見させて頂く四十肩・五十肩の症状の方は

肩はもちろん上腕や胸部、背部などの筋肉の緊張が

とても強い方が多い印象があります。

炎症による痛みからの防御反応や、

痛みの中で動かすことへの恐怖心から、

筋肉の過緊張が起きるのではないかと予想されます。

四十肩・五十肩の3つの時期と対処法

四十肩・五十肩は大きく分けて

3つの時期があるといわれています。

①炎症期

炎症期はその名の通り、肩関節内に

炎症が起こっている時期です。

この時期は何をしても痛いし、

何もしていなくても痛い。

夜寝る時も痛くて、酷いときには

眠れない…という辛い期間となります。

炎症期の対処法:

四十肩・五十肩は動かした方が良いと言いますが、

この炎症期には、無理に動かすことは

あまり推奨されません。

炎症期に無理をし過ぎると、炎症が悪化したり、

繊維化が促進されて、組織がガチガチに

なってしまう可能性があります。

そのため、肩関節自体を無理やり動かすことは

一旦控えつつ、肩の痛みで強張りがちな

その周囲の首や胸部、背中などの筋肉の緊張を

取ってあげるためのマッサージやストレッチ、

リラクゼーションエクササイズを行うと良いでしょう。

また、夜寝る時に、丸めたタオルや枕を

脇の下に入れてあげるのもひとつの方法です。

腕の高さが調整されるので、肩関節の内圧が下がり、

痛みが軽減されます。

②拘縮期
拘縮期は炎症期のような安静時の痛みや

夜間痛は軽減されますが、

可動域が大きく制限される時期となります。

この時期になると、ある程度積極的に肩を動かしていくことが

必要となってきます。

拘縮期の対処法:

四十肩・五十肩には様々なアプローチが存在しています。

病院での注射や関節モビライゼーション、

ストレッチやエクササイズ等があります。

どの介入方も有効であるという結果が出ていますが、

ストレッチとエクササイズ

注射とエクササイズ

関節モビライゼーションとエクササイズ

等、+αでエクササイズも入れたプログラムの方が

可動域の改善がより見られたという報告もあります。

また、IASTMという、医療用ステンレスを使用した

アプローチも、肩の可動域改善には有効だという研究もあります。

Dr.KOMEDA Relaxation & Fitnessでも活躍している

IASTMについては、詳しくはこちらの記事をご覧ください⇓

③寛解期

拘縮期が過ぎると痛み、可動域ともに改善してくる

寛解期へと入ります。

この頃には拘縮期よりも更に積極的な

運動介入をして、可動域の改善の継続に加え

筋力の強化なども行っていくと良い時期です。

四十肩・五十肩は特に拘縮期に

いかに効果的に動かしていくかが非常に重要です。

動かさなければどんどん動かなくなっていきますし、

むやみやたらに動かしても筋肉の緊張が

助長されていまうことがあります。

3つの時期のどこにいるかによって、

アプローチ方法は変わってきます。

また、痛みの残る中では

なかなか自分で積極的に動かすことは怖いものです。

医師のもとでまずは適切な診断を受け、

診断に基づきストレッチや運動療法を

知識のある理学療法士やトレーナーと共に行い、

必要に応じて注射や物理療法も併用していくのが

寛解への近道だと思います。

肩の疾患には「腱板断裂」など

四十肩・五十肩と混同されやすいものもあります。

実際に私の知人も、五十肩だと思っていた自身の症状が

いつまで経っても改善せず、渋々病院に行ったら

腱板の完全断裂だった!ということがありました。

ご自身が四十肩・五十肩ではないか

と思ったら、自己判断はせずに、

まずは一度整形外科を受診することをお勧めします。

参照:

Hollman et al. (2015). Determining the Contribution of Active Stiffness to Reduced Range of Motion in Frozen Shoulder. Physiotherapy. 101.

Kulmn S. et al. (2022). Genome-Wide Association Study of Adhesive Capsulitis Suggests Significant Genetic Risk Factors. The Journal of Bone and Joint Surgery. 104(21).

Mertens M. et al. (2021). Exercise Therapy in Effective for Improvement in Range of Motion, Function and Pain in Patients with Frozen Shoulder: a Systematic Review and Meta-Analysis. Archives of Physical Medicine & Rehabilitation. 103(5).

Mins C. et al. (2019). Clinical Effectiveness of Non-Surgical Interventions for Primary Frozen Shoulder: A Systematic Review. Journal of Rehabilitation Medicine. 51.